多汗症とは、日常生活において差し支えるくらい大量に汗をかいてしまう病気のことです。全身に大量にかく全身性多汗症と、手や足などの局所に対して発生する局所性多汗症があります。
全身多汗症は、暑い場所や湿気の多い場所、運動をした後などで一時的に発生するケースが多く見られますが、継続的に汗をかいてしまうケースもあります。
一方、局所性多汗症に関しては、精神的なこと(緊張や不安)から、手のひらや足の裏、脇や顔などに汗をかいてしまうことです。
多汗症の治療法には、さまざまな方法があります。
「飲み薬」や、直接汗の多い箇所に塗って汗の出る量を抑える外用薬等の簡単な方法から、ボツリヌス毒素注射法といった一時的に汗を止める方法、多汗症の最終手段として、「交感神経を遮断」してしまい、半永久的に汗を止めるといった方法まであります。
以下にて、現在のところである治療法をまとめてみましたので、今後の汗対策の参考にしてみてください。
飲み薬
発汗を止め薬はとして代表的なのは、「プロバンサイン」といわれる抗コリン剤です。(コリンとは「アセチルコリン」という神経伝達物質のことを意味しています。)多汗症の人は、交換神経の反応が過剰に強くなっていますので、抗コリン剤の作用によって、交感神経の端から放出される「アセチルコリン」の放出を妨げて、汗の量を減らすというものです。
服用中は基本的に、喉が乾いたり、目のかすみなどの軽い副作用がでます。
また、緊張を軽くするために、精神安定剤や抗うつ剤を服用することで、発汗が減ることもあります。
外用薬(塗り薬)
外用薬には市販されているものを含めるとたくさんの種類がありますが、皮膚科にて処方されるものといえば、「塩化アルミニウム液」です。
塩化アルミニウム液を皮膚に塗ることで、汗が減ることが知られています。ただ効果には個人差もあり、また皮膚刺激も多少ありますので、皮膚の荒れやすい方が使うには注意が必要です。
イオントフォレーシス
汗は、汗腺の基底細胞というところで、細胞の内外を「Naイオン」と「Clイオン」が移動する際の電気的な傾きの度合いの差ができることで、発汗されます。
イオントフォレーシスはその電気分解によってできた水素イオンがNaとClの移動を阻害することによって、汗の発汗を抑制するしくみです。
この治療方法は、継続して行わないと効果が見込めないので、2週間以上の通院が必要となります。また、逆に長期間ずっとこの治療法に頼っていると、今度は効果自体がなくなってしまうそうなので、あまり選択肢として有力な治療法とは言えないかもしれません。
ドライオニック
ドライオニックは、イオントフォレーシスという電気分解を利用した治療方法を家庭で気軽に扱えるようにしたものです。(アメリカ製の多汗理療器具です。)
こちらであれば、2週間以上の治療の継続がかんたんになりますので、まだ現実的な治療方法といえるでしょう。
ボツリヌス毒素治療法
本来としては痙攣(けいれん)の病気をもつ人の治療の薬物なのですが、皮膚に注射をすると注射した部位とまたその周辺の汗が止まることで知られています。
ただし、3ヶ月〜半年程度しか効果が持続しないこと。保険が適用されないため、一回の治療で10万円前後の費用がかかります。
ただこちらは手のひらにも、腋窩(わきの下)に対しても、非常に有効とされており、私も一番効果を実感した治療法でもあります。
星状神経節ブロック
胸部交感神経ブロック
胸腔鏡下交感神経節遮断術(ETS)
追記
ミラドライ
ミラドライは皮膚を切ることなくワキガ治療ができる機械です。
ミラドライは、マイクロ波(高周波)によって汗腺を破壊しアポクリン腺やエクリン腺の機能をほとんど無くします。傷跡も残りませんし、汗腺は再生しないので手術と同様に長時間の効果をもたらします。
手術を受けた方も90%以上の方が汗の50%以上少なくなったと実感している結果が出ているそうです。しかしボトックスほどの効果はないので、求める度合いによっては効果に満足できない場合もあります。
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